その日、地球は滅亡した
「...未空、俺の話...聞いてくれないか?」
突然、心晴君は口を開いてぽつりぽつりと話し始める。
「?、うん。」
私は頷いて、彼を見た。
「俺、本当は死んだはずなんだ。」
「えっ!?」
死んだって!?どういう事?
良くわからず、驚いた声をあげると心晴君は眉をひそめる。
「...2012年8月20日に、俺は居たはずなんだ。」
...成程、心晴君は明日から今日にタイムスリップしてきたんだ。
十分非現実的なことだが、私は驚かなくなっていた。
「ずっと普通だったのに、急に地震が起きてさっ、...屋根、落ちたんだ。」
その言葉を聞き、幼いころの記憶が蘇る。
私がいた町は奇跡的に助かったけれど、物凄い惨事だった事を覚えている。
「兄貴がたすけてくれて俺はたすかったんだけど、
母さんと兄貴、俺の、目の前で。」
心晴君の声が震えていた。
(お兄さんが、助けてくれた?)
その言葉を聞き、先ほどカフェで陽人さんが言っていた言葉を思い出す。
___一応俺は兄貴だしな。俺も心晴を護るよ。
(...まさか、)
陽人さんは、先ほど言っていたとおりに心晴君を助けてくれた。
けれど、かわりに自分は死んでしまった。
聞けば聞くほど、明日への恐怖心が大きくなっていく。
私はもう一度心晴君の手をぎゅ、と握る。
「怖くて、死にたくなくてっ、外にでたら町が滅茶苦茶でわけわかんなかった。
そしたら空が光って、俺のほうに何かが飛んできて...。
何かがぶつかって、俺は死んだ。」