その日、地球は滅亡した
___どういう意味だ?
兄貴はきょとんとしている俺を見てフ、と笑う。
「心晴に、頼みたい事があるんだ。」
「俺に?」
「うん。これ、渡しておく。
さっき急用で会社に行ったとき持ってきた。」
ポケットからディスクを一枚取り出すと、俺に渡してきた。
「なに、これ。」
「俺の会社の研究の記録。
極秘だから、誰にも取られるなよ?」
「...は?」
訳がわからず、俺はじっと兄貴を見る。
兄貴はきょろきょろとあたりを見回してから、誰もいない事を確認したあとに
俺の耳元に口を近づけて言葉を発した。
「これに、タイムマシーンの制作過程が記録されてる。」
吃驚して、目を見開く。
「きっと、役に立つと思うから。」
そう言って、バシと俺の背中を叩いてきた。
思わずよろけて転びそうになるが堪える。
近くで、未空が肩を震わせて俺たちのやり取りを見ていた。
「...。」
「俺さー、今までお前の事さんざん馬鹿にしてきたし、
うぜぇ時もあったけどやっぱ好きだよ。」
「な、んだよ...それ。」
最後の別れのように聞こえて、心臓がバクバクと騒ぎ出す。
兄貴の悟ったような言い方に、冷や汗が流れた。