その日、地球は滅亡した


兄貴は、明日地球が滅亡する事を知っているのだろうか。

何故だかわからない、けど、そう思わずにいられない。

「そんな言い方、すんなよ。

そんな、死ぬ、みたいな言い方...。」

声が震えた。

ギリ、とディスクを持つ手に力がこもる。


兄貴は明日俺をかばって死ぬ。

もしかして、兄貴はすべて知っていたのだろうか。


___兄貴や、母さんに死んでほしくない。

俺は、明日起きる事を話そうと思った。

そうすれば、未来は変わるかもしれない。

兄貴や母さんは死なずにすむかもしれない。


「兄貴、」

「ん?」

「明日、兄貴は俺を庇っ「心晴。」

俺の言葉を遮り、兄貴は俺の口元に人差し指をあてる。


「俺は大丈夫。」


ぶわ、と瞳から涙が溢れた。

ぽろぽろと頬を伝うそれは、止まらない。

兄貴は困ったような表情をして俺を抱きしめる。



___兄貴は、明日何かが起きることに気づいている。自分が、無事ではすまない事も勘づいている。


「嫌だ!兄貴、死ぬなよ!なんで、俺を庇ったんだよ!

俺だけ置いてくなよ!何なんだよ、なんでっ、」

どん、と力強く胸板を叩く。

そんな俺には何も言わず、兄貴は未空に視線を向けた。


「門倉サン、弟をよろしくな。」

「っ...。」





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