その日、地球は滅亡した
心晴はハンドルをおもいっきり右に傾けて進む方向を変えようとしたが、無駄だった。
吸い込まれるように時空の歪に向かってタイムマシーンは進んでいく。
「ッ、!」
「かわれ!」
慧は心晴を無理やり退かすと、ハンドルを握った。
「駄目だ、歪の吸引力で操作ができない。」
「ど、どうすんだよッ」
「吸い込まれるしかないな...100年の間のどこかの時代につくことを願うしかない。」
「100年の間に着かなかったらどうなるんだよ。」
「元の世界に戻れない。」
慧の言葉が重く耳に響いた。
体が硬直する。全身がぶるりと震えた。
「衝撃が来るぞ。」
慧は心晴と未空を引き寄せ、強く抱きしめた。
腕の中で、未空は心晴の肩に顔をうずくめる。
この状況の中、一言も不安を口にしない未空は強かった。
ゴォオオオオ、
機体が激しく揺れる。
徐々に大きな闇へと近づいている。
怖くて、心晴はぎゅっと目を綴じた。
ぐにゃりとした風景から、闇へと一変した。
まるでジェットコースターに乗っているような感覚だった。
圧力が体を襲う。
「ッく、」
何所に着くか予想できない恐怖にかられながら、
早く時空の歪から抜け出せる事を願った。