その日、地球は滅亡した

「慧は、俺に自分の気持ちなんて理解できるわけないっていうけどお前も俺のこと理解できないだろ!

目の前で家族を失って、突然未来を救えって言われた俺の気持ちなんてッ...」

想像できない未来と、死ぬかもしれないという恐怖の中で心晴は生きている。

未来を救わなければいけないというプレッシャーで今にも押しつぶされそうだった。


けれど、心晴は1人じゃないと思えたからこうして前に進むことができている。

なのに、慧は自分を突き放す。

涙が、頬を伝って流れた。


「...慧、俺、怖いよ。」


命を賭ける事を心に決めても、やっぱり怖い。

「...。」

痛いほど、心晴の気持ちが伝わってきた。

慧は立ち上がりぐしゃぐしゃと彼の頭を撫でる。

しかし、心晴はそれを振り払いキッと慧を睨んだ。

「そうやって、誤魔化すなよッ、...」

「心晴...」

「もういい!」


くるりと背を向けて、心晴は走り出した。

「おい!」

呼び止めたが、彼は止まらない。

徐々に遠くなっていく背を見て追いかけようとした時だった。

がし、と肩を掴まれる。

振り向けばそこには警備員が立っていた。


「貴様、何所から侵入したんだ。」

「っ...。」

冷や汗が、頬を伝って流れた。
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