その日、地球は滅亡した


「ッ、け、慧さん!?」

「未空ちゃん、交渉終わった?」

笑顔を見せてくる慧に、未空は戸惑う。

「は、離せ!こんな事をしてただですむと思ってるのか!」

「うるさいなぁ。」

慧は両手が縛られている警備員に冷たい視線を向ける。

「な、なんだ貴様は!」

友哉が慧に向かって叫んだ。

それを無視して、慧が未空に視線を向けた。

「未空ちゃんの交渉が失敗したら、脅して研究所を貸してもらおうと思ってさ。」

笑顔で言う事じゃない気がする。

未空は青い顔をして慧を見た。

「け、慧さん、その、警備員のひとを解放してあげたほうが...。」

犯罪者になっちゃいますよ と続ければもう遅いよと言われた。

「とにかく、俺達には時間が無いんだ。

研究所、貸してもらうから。」

「警察に、「連絡したら、この警備員どうなるかわかってるよなあ?」

慧はポケットから小型ナイフを取り出し、警備員の首元にあてた。


「ひぃ!」

「け、けけけ慧さん!だ、ダメですよ!」

小さな悲鳴をあげた警備員を見て、未空は慌てて彼を止める。

「...分かった。研究所を貸そう。」

表情を歪めて、友哉は渋々了承した。
< 85 / 187 >

この作品をシェア

pagetop