その日、地球は滅亡した


「...は?」

すぐには理解できなかった心晴は、思わず聞き返した。

腕の力が緩んだと思ったら、今度は片手で頬を掴まれる。

そして、無理やり視線をあわされた。

「っ、」


「俺の本当の名前は峯岸心晴。」


ばっくん、ばっくん、

脳が理解すればするほど、心拍数があがっていく。

___信じられない。

「過去を救うために、未来から2012年に来た。」

告げられる言葉に、戸惑うしかない。


同じ瞳に、同じ髪質。

顔つきは違うものの、確かに自分と良く似ている。

まじまじと見た事がなかったために気付かなかった。


「ッ、嘘だろ、」

何がどうなってるんだ。

まさか慧が、俺だったなんて。

理解できない、いや、したくない現実から逃げ出したくなった。



「...もう、わかっただろ。

未空ちゃん探してから戻るぞ。」


一瞬にして緊迫した空気が解かれて、いつもの口調で慧は言った。

呆気なく心晴を解放し、背を向けて歩いていく。

全く、つかめない。


いまだに動揺している心晴はその場から動くことができなかった。

それに気づいて慧は溜息をついて、戻ってくる。

そして心晴の手を引っ張り歩き出した。




< 98 / 187 >

この作品をシェア

pagetop