仔猫を拾った王子様
そういう意味を込めて。
席をたって、歩こうとした時だった。
「待ちなさい、萌さん」
重くて低い声。
梨沙さんのお父さんの声で、あたしは呼び止められた。
「わたしは知っていたよ。君と萌さんが恋人関係にあることを」
「「「え…──」」」
アタシ、那李、梨沙さんの声が重なった。
「高城から言われていたんだ。“息子と梨沙を縁談に持ち込みたい”、と」
「それ…聞いてた話と違うんですけど」