仔猫を拾った王子様
あたしが那李の前から逃げて、一ヶ月くらいたった。
あたしは知らなかったけど、那李は結構テレビにも出演していたから。
那李の婚約会見も、テレビ中継もされるほど大々的に行われた。
悲しくて…寂しくて…目に涙が浮かんで、よく内容は覚えてない。
でも、那李と、那李の隣に座っていたきれいな女の人は、心から笑っているように見えた。
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「じゃあ、行ってくるな。萌も気を付けるんだぞ」
「うん。いってらっしゃい」
ボサボサだった寝癖も、何とか直したお父さんを見送った。