仔猫を拾った王子様
王子様
後ろから私を追いかけるお父さん。
追いつかれない。
追い付かれちゃいけない。
ボロボロの靴は気づいたら脱げていて。
裸足で走ってた。
――――いきなり目の前に車が止まって。
「乗れ!!」
大きな車の窓から、那李が顔を出した。
「うん…!!」
私が乗った後、もうスピードで進んだ。
「っはぁ、はぁ…あ、ありがと…」
「馬鹿じゃねえの!?なんのために家に居させたかわかってるのか!?」
「私の足が、治らないから?」