赤い下着の主



 風呂に入ると、そこがヌルっとした。

 それによって優は玉置とのひと時を思い出し、一人でヘヘッと照れた。

 その声が反響して自分の耳に届くと、自らが冒された病に気付く。

「やっぱりなー。そうだよなー」

 バシャバシャと湯で顔をすすぎ、胸の奥でムズムズとくすぶる病原体と戦う。

 ため息が漏れる。

 発症から中期症状までの期間が短すぎた。

 初期症状のうちに何とかできていれば、恐らくここまで進行することはなかったのに。


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