赤い下着の主
「今は昔、比叡の山に児ありけり。僧たち、宵のつれづれに……」
あー、眠い。
古典って、どうしてこうも眠いのだろう。
何言ってるかもよくわからないし、宇治拾遺物語とか、どうして平成のこの時代に勉強しなきゃいけないんだろう。
優は頭の中で愚痴をこぼしながら、ただ必死で目を開けることに集中していた。
「宵のつれづれとは、夜何にもすることがなくて暇という意味で……」
担当の若い女教師は、若さをアピールするようなフワフワした茶色のゆる巻きヘアが女子に人気であるようだが、残念ながら男子勢の目を覚ましてくれるほどの美貌を持ち合わせていない。
ただ、声がとてもクリアで、子守唄のようだった。