赤い下着の主

 苦痛の古典から解放された優は、まだまどろみからは解放されず

 ぼんやりしてはため息をつく。

「優、ため息つき過ぎじゃね?」

 前の席の原田が振り返る。

「古典がつまんなくてさ」

「あー、わかる! チカコちゃん、可愛いんだけど眠いんだよなー」

 チカコとは先ほどの古典教師である。

「ミナミちゃんが担当なら、ちゃんと起きてられるんだけどな」

 と、窓側の席から移動してきた牧野も加わった。

 ミナミちゃんとか言うなよ。

 俺だってそんな風に呼んだことないのに。

 優は今になって不満を覚える。

 これも病の症状だ。

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