赤い下着の主

「なあ、その女って年上?」

 原田が問う。

 本当にこいつは鋭い。

 優は迂闊に言葉を発せなくなった。

「ああ、うん。俺なんて、きっとガキすぎて相手にされてないんだ」

 わかってるさ。

 付き合おうとか、そんな話ができるわけがない。

「いくつくらい?」

「さーな。知らない。けど20代」

 玉置によると、10歳離れているらしいが、そこまで言うと勘付かれる気がしてやめた。

 牧野は俺の状況をうらやましがりながら、

「お前ばっかりイイ思いしやがって」

 という捨て台詞を残し、チャイムと共に去って行った。

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