赤い下着の主



 昼休み、小用があって職員室に立ち寄った。

 職員室は相変わらずガヤガヤしていて、若い女教師の香水の匂いや男性教師のタバコの匂い、そして淹れたてであろうコーヒーの匂いやらが混じっている。

 無意識に玉置の姿を探す優は、それではいけないと意識して目的地以外は見ないよう努めた。

 それなのに。

「玉置先生ー」

 誰かが呼ぶから隅に置けない。

 せっかく見ないようにしていたのに、玉置の所在は嫌でも認識してしまった。

 そうなると、目で追わないわけにはいけなくなる。

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