赤い下着の主

「うーん。前の仕事が忙しくて、すれ違いが多くてね」

 そう言うと目の前の二人の友人は、左手の薬指に指輪を光らせながら

「そっかー」

 と同情の色を見せた。

 真実はそうではない。

 すれ違いがあったことは間違いではないが、別れの決定的な原因は別のところにある。

「で、新しい彼は?」

 そう聞かれてドキリ。

 彼氏と言える相手はいない。

 しかし、彼氏のように癒してくれる男はいる。

 そう伝えたところで、それが生徒だとは口が裂けても言えない。

「ううん、いない」

「やっぱ教師に出会いはないの?」

「ないねぇ」

「そっかー」

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