赤い下着の主

 梶原は幼い顔をして、なかなかの策士だった。

『じゃあ、誰にも見られないところなら良いってことですね?』

『制限時間は10秒ね』

『ここじゃなかったら良いんだ』

 美奈実の言動を読んで操って、容易にこの部屋に転がり込んでいた。

 可愛い顔で油断させておいて、いつだって主導権を握っていた。

『ガキだって思われたくないし、下手くそだって思われたくない。余裕がないとも思われたくない。だから俺は今だって、恥ずかしさとか不安とかを隠しながら、どうしたら先生より上に立てるか考えてるよ』

 ただでさえ背が高いのに、さらに目一杯背伸びしながら。



 しかしそんな彼が……

『ごめん、先生。俺、あいつの罠にハマッちゃった』


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