赤い下着の主

「梶原、ですか。一年生にそんな名前の子、いましたっけ」

 とりあえず、仕事の話だと思っている自分を演じる。

 高澤は笑って、

「いえ、三年の生徒です」

 と付け加える。

「三年生?」

 私は一年生のことしかわかりません。

 という設定だ。

「ご存知ありませんか?」

「どんな子ですか? 男子? 女子?」

「まさる、ですから男子です。背が高くて、どちらかというと可愛らしい顔の」

 高澤が梶原の存在を意識しているのであれば、彼が近所に住んでいることを掴んでいるということになる。

 程よく知っていることにしようと思った。

「もしかしたら、うちの近くに住んでいる子かもしれません」


< 256 / 350 >

この作品をシェア

pagetop