赤い下着の主
「梶原、ですか。一年生にそんな名前の子、いましたっけ」
とりあえず、仕事の話だと思っている自分を演じる。
高澤は笑って、
「いえ、三年の生徒です」
と付け加える。
「三年生?」
私は一年生のことしかわかりません。
という設定だ。
「ご存知ありませんか?」
「どんな子ですか? 男子? 女子?」
「まさる、ですから男子です。背が高くて、どちらかというと可愛らしい顔の」
高澤が梶原の存在を意識しているのであれば、彼が近所に住んでいることを掴んでいるということになる。
程よく知っていることにしようと思った。
「もしかしたら、うちの近くに住んでいる子かもしれません」