赤い下着の主

 梶原はふと微笑んで、

「あっちゃいけないと思う」

 と答えた。

「あらそう。だったら……」

 美奈実は手を放し、くるりと後方を向いた。

「お茶にしましょう」

 そう言ってコンロの火を止め、ケトルの湯をカップに注いだ。

 湯気が上がり、少しだけメガネが曇る。

 紅茶の甘い香りが立ってきて、それと同時に背中から彼の体温が流れてきた。

「ねえ、先生」

「なに?」

「俺たちの関係って、何て言うのかな?」

 梶原は美奈実の肩に顎を乗せ、耳元で静かに尋ねてきた。

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