赤い下着の主

 しかし、穏やかだった教師ライフは梶原によって崩壊させられてしまった。

 何百といる生徒のうちの一人であったはずの彼は、向かいの戸建ての住人だった。

 近すぎるあまり、だらしない姿を見られ、その時点で教師としての威厳は消沈。

 先日は『可愛い』を連呼されたあげく、唇まで奪われてしまった。

 まさか生徒がそんなことをしでかすとは、予想だにしていなかった。

 ガキだと思って、ナメていた。

 完全に油断していた。

 梶原を侮っていたというのもあるけれど、自分はガキなんかに心を揺さぶられることはないと高を括っていた。


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