赤い下着の主

 もし生徒が自分に好意を持ったとしても、自分がそれに靡くことはない。

 生徒に付け入る隙なんて与えなどしない。

 そう思っていた。

 自信もあった。

 けれど、梶原は可愛らしい顔をして、美奈実が作っていた教師と生徒の壁を容易に飛び越えてここまでやってきてしまったのだ。

「抱いていい?」

 まさかこんなことまで言い出すとは。

 生意気にも程がある。

 私はダメだと跳ね付ければよかっただけなのだが、なぜかそれができなかった。

 撥ね付けたくなかった。

 10歳も年下である生徒に、なぜ?

 それは今でもわからない。

 こんなこと、バレたら大変なことになるというのに。

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