赤い下着の主

 梶原の生意気さは、その言動だけではなかった。

「先生、可愛い」

 という言葉を繰り返しながら与えられた女の喜び。

 高校生風情が私を満足させられるもんならやってみろ、なんて開き直ってみたけれど、

「先生、イッちゃった?」

 あっさり完敗。

「またイッちゃったね」

 何度も完敗。

「ほら、イキなよ」

 よほど自分が感じやすいのか、それとも梶原に才能があるのか、はたまた相性が良いのか。

 私は完全に梶原のペースに飲み込まれていた。

 極めつけは、

「欲しい?」

 の一言。

 美奈実は意地でも欲しいとは口に出さなかった。

 欲していたのが悔しかったのだ。

 早くして。

 こんなところで止めないで。

 言わなくても梶原なら、きっと察してくれる。



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