赤い下着の主

 中間テストの訂正ノートを数学の担当教師に遅れて提出し、職員室から出ようとしていた時。

 ついにその瞬間が訪れた。

「失礼しました」

 この学校では、職員室から退出する際、こう言いながらドアの前で一礼しなければならないという規則がある。

 優もまたその規則に従ったのが、出会いのきっかけであった。

 優が顔を上げるとそこに、そう、玉置美奈実が立っていたのである。


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