いつまでも


「…ちゃん、晴ちゃん!」
「へっ…」


おじさんに肩を揺すられて目が開く。

「8時に予定あるんでしょ?」

いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
急いで時計を見ると、8時三分前だった。

「あっやば!!おじさん、ありがと!!また来るね!!」
「あいよー」

私は、コートと鞄を持ち、お金を払うと急いでルネを出た。


少し走って、地図の丸印であると思われる場所に着く。


ここ……、

「路上、ライブ…?」

ギターやら、マイクやらが置いてある。
人もバラバラと集まっていた。


場所、間違えたかなあ…。

きょろきょろ周りを見渡してみる。


すると、マイクの前に誰かが立った。

冬場の8時は、もう真っ暗で。
うまく人が見えない。


でも…―。


「こんばんは、skyです」
この声……。



「相葉、先生……?」


声を聞いただけで、わかった。
間違いない。
テレビ越しに聞いた、
音楽室で聞いた、
耳元で…聞いた。

先生の声だ…。

私は、少しずつ人だかりに近づく。








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