いつまでも


視界に捉えた先生は、スーツを着た「先生」じゃない。


「今日も寒いのに、ありがとう。では、さっそく一曲目いきます」


先生の声が、私の耳を通って体全体に響く。



トクン、トクン…

よく分からないけど、緊張してきた…。

♪♪♪〜♪〜

歌が、流れ始めた瞬間。
鳥肌が立った。


目に見えない何かが、私を包む。

先生の歌声が、頭に響く。



なに、コレ………。


「すごい…………」



聞いている人に、語りかけるような歌声。

澄んでいて、どこまでも届いていきそうで。

甘くて、けれど力強くて。

……魅了される。


この世に、先生の歌声しか響かないみたいに強くそれでいて儚く、辺りに響く。


手が、震えた。






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