トゲ病
「泰…チン…何で…?あたしを…好き…って…言ったじゃん………」                                           真実の白い頬に、涙で落ちたアイラインの黒い雫が線を描く                                           「うっ…ヒック…ヒッ」                                       泣いたって、目の前の事実はボヤケルだけで消えてはくれない                                          「あんた、顔ひどいよ!早く帰りなよ」                                                       真実は泣きながらその場を離れた……………………                                    涙に重なる自然の涙に空を見上げた                                             「あんたも…泣いてるの?」                                              真実の苦しみを流す雨は、今日だけは温かい……………確かに温かい                                                                  「うわぁぁー」                                        叫んだ慟哭を雨が受けとめてくれたんだ                                                       真実は愛する事を封印した……………………
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