吸血鬼は蒼い月夜に踊る
「屍たちが……嫌な臭いを撒き散らし過ぎだ」

「楽しそうに笑うのはやめてください」

「なぜ? 今宵も存分に踊れそうだというのに?」


そう言って笑うディーノに対して、ファルスはこれ以上はないほどに眉根を寄せて小さくため息をついて見せた。

そんな困り顔の相棒にディーノはまたからかうようにクスクスと笑う。

ファルスは諦めたようにコホンッと小さく咳払いすると、また無機質な表情を作り、まっすぐに主人であるディーノの瞳を見つめた。


「最近は、昼も夜もこんな状態です。これもすべて、守護者たちが失踪したことに要因があるのでしょう」


ファルスの言葉に、真顔に戻ったディーノはつまみ持っていたカーテンを静かに放した。


「昼の守護者たちの行方はいまだ知れず……か。問題が山積みだな」

「もはや絶望的な状況かもしれません」

「……だな」


ファルスに大きく頷いてディーノは深くため息をついた。


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