吸血鬼は蒼い月夜に踊る
「お仕事しておいでって……月(マザー)は人使いが荒いねぇ」


ため息とともに、その影がゆっくりと瞳を開く。


闇の中で、まばゆく輝く金色(こんじき)の玉。


2つの玉は振り返り、蒼い月を見上げる。

すると、月の光を吸い込んだ金色の瞳はさらに輝きを増した。

切れ長の瞳に悪戯な色が浮かび、月から闇夜の中へと再びその視線が戻る。

褐色の肌の美貌の青年は、流れる髪を鬱陶しそうにかきあげる。

それから黒い皮のグローブをはめた手で、脇に置いていた剣を取った。

鞘のない銀色の刃がむき出しの剣の刀身には、何かの呪文であるのか。

多くの文字が彫り込まれていた。


蒼い月の光に銀色の刀身が鈍く、鈍く光を放つ。


ゆっくりと青年は立ちあがった。

濡れた妖しく輝く赤い唇に笑みという花が咲く。


世界を支配する闇とは対照的な、真っ白な上着。

それと同じ身体のラインを強調するほど細いパンツに身を包む青年が、月を背負い立つようにその場に佇む。
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