その男、危険人物にて要注意!!




「あっ……」


会いたくて、会いたくて、仕方なかった人が階段から上がってきた。


「ねむっ」


大きなあくびをしてあたしにはまだ気がついてないみたい。


目を擦って…… 片手にはビニール袋をぶら下げて、もう片方の手はポケットの中に入っている。

ふふふ、怠そうな姿だなー。

久しぶりに見る、無防備な姿に頬がどんどん緩んでいく。


「ふわぁー…… あっ?」


あたしと松田さんの視線が交わった。

ペコッと座ったまま、頭を下げる。


「お疲れさまです」


「あっ、お疲れ」


あたしがいたからかな?

松田さん、びっくりしている。


「…… 紗雪ちゃん。 どうしてこんなとこにいるの?」


あー、聞かれちゃったよ。

言いづらいな、カギを部屋に置いてきちゃって部屋に入れないなんて……。


「あーっ、えーっと……」


「紗雪ちゃん?」


「松田さんに会いたくて、待ってました」


嘘、じゃない。

松田さんに会いたかったのも事実だしね……。


松田さんとここ数日、本当に会えなくて寂しかったんだもん。




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