その男、危険人物にて要注意!!




「ありがとう。 んで、どうしてここにいるの?」


あたしの前に、同じように座り込んで……まっすぐ、あたしを見つめてくる。


松田さんにはバレバレみたい。


「“会いたかった”って言ってもらえたことは嬉しいよ? でも、本当はどうしたの?」


「カギ、部屋に忘れて入れなくなっちゃいました」


「正直でよろしい」


そう言って、あたしの頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。


松田さんは立ち上がって、自分の部屋のカギを開けた。


「紗雪ちゃん、おいで?」


「えっ?」


「いつまでこんな暑いとこにいるの? 熱中症になったら大変だから」


この廊下は熱が籠もりやすい。

座っていただけなのに、汗がすごい。

飲み物が辛うじで残っていたから良かったものの……。

この飲み物が無かったら――― と、考えただけでも恐ろしい。


ゆっくり腰を上げて、久しぶりに訪れる松田さんの部屋に入る。


前に来た…… 半ば、押し掛けでやってきたときと変わらない。

相変わらず、きれいだ。




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