その男、危険人物にて要注意!!




「エアコンつけたからもう少ししたら、冷えてくるからそれまで我慢して」


「はい」


松田さんはコーヒーかー。

松田さんってコーヒーばかり飲んでいるような気がするけど…… 気のせいかな?


「紗雪ちゃん」


「はい」


「――― !!」


急に指で頬を撫でられた。

優しいその指があまりにも気持ち良くて――― 瞼を閉じる。


「紗雪ちゃん」


再び名前が呼ばれる。

瞼を開くと――― 目の前には優しく笑う松田さんがいる。


長くて優しい腕が伸びてきて、視界は真っ暗になる。


“松田さんに抱き締められている―――”


そう、認識するまで時間は掛からなかった。


「会いたかった―――」


松田さんも同じ気持ちだったんだ。

あたしと一緒だったんだ。


「紗雪ちゃんが“会いたかった”って言ってくれて、嬉しかった。 あのとき、場所も考えずに、紗雪ちゃんのことを抱き締めたかった」


松田さんの腕の中は暖かくて、気持ち良くて、安心できて―――。

幸せだな。




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