その男、危険人物にて要注意!!
「あっ、泣き止んだ」
なんて…… 顔を上げたら上げたで松田さんはまた楽しそう。
マイペースな松田さんにあたしのペースが崩される。
「あーあ、いっぱい泣いたねー。 目が真っ赤だよ」
そう言って瞼に松田さんの手が伸びてきた。
「もう、泣いても紗雪ちゃんはかわいいんだから。 どれだけ俺を好きにさせたいわけ?」
…… そういうわけで泣いていたんじゃないんだけど。
「ほら、ご飯作るから少し向こうに居てくれる?」
「手伝っちゃ、ダメですか」
「ダメ、かなー? 向こうで待っていてくれない?」
きゅっと松田さんの服を握る。
「…… 寂しい」
はぁー、頭上からため息が聞こえた。
「もうさ…… 本当にどれだけ俺を好きにさせたら気が済むの?」
「そんなつもりじゃないんですけど……」
「紗雪ちゃんはかわいい」
「…… 恥ずかしいです」
そう言って顔を埋めると、松田さんはまた“かわいい”と言って、頭を撫でてくれた。