その男、危険人物にて要注意!!




そんなことをしている暇があったら、きちんと松田さんに気持ちを伝えなきゃいけない。


「紗雪ちゃん」


「はい」


予告なく、松田さんに“好き――― ” なんて伝えてしまった手前、この後はどうしていいかわからない。

顔を上げるべき何だろうけど、恥ずかしくてあげられない。

どうしよう……。


「紗雪ちゃん、顔上げて」


「やだ」


「そうやって、わがまま言う紗雪ちゃんも嫌いじゃないけど、今は顔を上げて欲しいな?」


そんな優しく言われた、顔を上げざる得ない。

ゆっくり、顔をあげる。


そうすると、優しく笑う松田さんと目があった―――。


「紗雪ちゃん――― 好きだよ」


この言葉を聞けることが幸せだ。

あたしはこの人を好きになってよかった。

そうやって、思った瞬間だ。


目が合い、微笑み合う。

ゆっくりおでこをあわせて、再び微笑み合う。

松田さんの腕の中が暖かい―――。


唇がゆっくり近づいていく―――。




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