その男、危険人物にて要注意!!
改めてそう言われると…… 松田さんの顔をみることができない。
ドキドキ鳴る、胸を抑えて俯く―――。
「ほらっ、体が冷える前に部屋に入りな?」
「はい―――」
松田さんにそう促されて、あたしはカバンから部屋のカギを取り出し、差し込んだ。
「じゃあね、バイバイ」
「コーヒー、ありがとうございました」
あたしはそれだけ言って、玄関のドアを閉めた。
パタンと閉まったドアに背を預けて――― ズルズルと座り込んだ。
“紗雪ちゃんに会いたかったから”
松田さんのその言葉があたしの耳から離れない。
あたしも…… 松田さんに会いたかった。
会いたくて、ここ数日早く家を出たり、遅く帰ってきたり…… 試行錯誤をしていたけど、昨日まで全然会えなかった。
でも……。
「やっと会えた」
松田さんに会えた嬉しさで、今週の疲れは一気に吹き飛んだ。