その男、危険人物にて要注意!!




「紗雪ちゃん」


「松田さん……」


あたしと身長差があるから、松田さんがあたしと視線を会わせるように屈んだ。


「紗雪ちゃん、それ…… くれるの?」


あたしの持つ箱を指差しあたしと視線を交える。


真っ直ぐ見つめてくる松田さんのその瞳から、あたしは捕らえられたら。


「これ、ケーキです。 いつも、コーヒーありがとうございます」


スッと――― 白い箱を差し出す。


あたしの差し出す箱を受け取るとき。


「~~~ っっ!」


一瞬だけ、あたしと松田さんの手が重なった―――。


大きくて、温かい――― 松田さんの手。


「ケーキか…… 久しぶりだ。 紗雪ちゃん、ありがとう」


「いえっ」


「ちょっとー! そのケーキを買ってきたのはあたし! 紗雪じゃないんだから!」


もう、お姉ちゃん!

いま松田さんと見つめ合って結構いいとこだったのに。


「美春先輩もありがとうございます」




< 33 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop