その男、危険人物にて要注意!!
どーしよ、これ。
目の前に置かれたコーヒーをただ、見つめるしか出来ない。
松田さんは松田さんで、さっきと同じ場所…… あたしの向かいに腰をおろすし。
コーヒーを残すに、残せなくなってしまった。
松田さんも自分の分のコーヒーを入れて、ボーッとしている。
…… 眠いんだな。
「松田さん?」
「ん、なに? なにかあった?」
あたしに名前を呼ばれて、少し驚いたように顔を上げた。
「眠いんですか?」
「――― え!!」
あたしの言葉に松田さんは目を大きくした。
「なんか、ボーッとしてますよ?」
「ははっ、紗雪ちゃんはよく見ているね」
違います。
松田さんだから、わかったんです。
「俺さ、なぜかご飯食べると眠くなるんだよね」
「いつも、ですか?」
「いつもってわけじゃないよ。
仕事が終わったり、気が抜けたりしたらスゲー眠くなる。 昔からテスト前とか何日も徹夜したって大丈夫なんだけど、テストが終わったら一日中寝ているよ。
ここんとこ忙しかったから、少し疲れているんかもなー」