その男、危険人物にて要注意!!
「夕ごはん、作らなくていいんだよ?」
「大勢でご飯食べるの好きじゃない」
「連れないなー、紗雪は」
“アハハッ”と明日香が笑って、今度はアイラインを引きはじめた。
大勢でご飯を食べることはそんなに、嫌いじゃない。
ただ…… あたしが嫌いなのは、知らない人とご飯を食べること。
人見知りが激しいといったら、それまでなんだけど。
大学に入っても、最初は慣れない環境ってことも伴って、女の子特有のグループになんとなく…… 収まっていたけど。
「このリップ、かわいいでしょ?」
夏を目前に控えた、ある日。
たまたま席が隣なった、明日香があたしに話し掛けてくれたんだ。
「新発売なの」
「へー」
ベビーピンクのリップは確かにかわいくて、あたしの目を引いた。
「オススメだよ。 あなたみたいな子には、そんなリップよりこういうのが合っている」
「――― !」