ここにある
聴覚が暗闇でとぎすまされ、足音がすぐ耳元で響いているような錯覚に陥る。

こわい…

凍りついたあたしは、棒のように立ち尽くし動くことが出来ない。

体のどこに力を入れていいのかわからず、悲鳴どころか、呼吸もままならない。

ただ、息苦しく喘ぐだけの呼吸を繰り返していると

不意に肩に手がかかった。

「………!!!」
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