ここにある
どうしようもなく身勝手で、ぶざまな行為だったのに

詩音はちゃんと受けとめてくれていた。


「でもさ、どうやって近づいたらいいのか、やっぱりわかんなくてさ…」

難しい顔をしながら、なおも真剣に考える詩音に

あたしの鼓動はとくとくと早くなった。


「でも、オレすごい酷いことした…ごめん…でも」

「でも?」

「どうしても知りたかったからさ」

詩音は、申し訳なさと矛盾する自分の言葉に、複雑な表情をした。

そんな詩音にあたしは充分、満足した。


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