ここにある
頬がきーんと心地よく痛み、その甘さを堪能していると

「あのさ」と詩音が言いかけた。

「もし、迷惑じゃなかったら、陶子とオレ友達になれる?」


詩音の言葉に、今度は胸の辺りがきーんと甘く痛んだ。


「全然、迷惑じゃないし、もう友達になってるってば」

照れ隠しに、少し頬を膨らませて言えば
「そうなんだぁ」と目を丸くしている詩音がいる。

友達という言葉がやけに新鮮で、これ以上あたし達をあらわす純粋な言葉は、見つからないと思った。
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