ここにある
河原へ着くと、約束の夕方まで、まだ時間があった。

あたしは対岸で揺れるコスモスを眺めながら、夕焼けの中、初めて見た詩音を思い出した。


紅茶色の瞳が綺麗に透きとおっていて

まなざしは、強くまっすぐに輝いていた。

詩音に近づきたくて、知りたくて、あたしは自分を抑えきれなかった。


そして、近づいてみれば、その感性は柔らかくて暖かくて

あたしを、どこまでも受け入れてくれた。

だから、夢を見れた…

現実を忘れ、ひとときでも詩音と二人で生きているような


幸せで、はかない夢……

< 211 / 281 >

この作品をシェア

pagetop