ここにある
突然、詩音が立ち上がった。

「何が?」

あたしも立ち上がれば、詩音はまっすぐにあたしを見つめ言う。

「コスモスは弱い花なんかじゃない。強い花だったんだ」

ほら、見てと詩音がコスモスの茎を指差す。

あたしは言われた通り、コスモスの根本に視線を落とした。

遠くから見えた花の薄い色合いや、ゆらゆらと、はかなげに揺れる細い葉からは

想像も出来ぬほど、太く立派な茎がついている。

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