ここにある
「そっか…陶子は海になりたいんだ…」

隣の詩音は、神妙な顔つきで考え込んだ。

それから、こめかみを押さえコツコツと人差し指でつつき、黙り込む詩音に

やはり、あたしには使いこなせない言葉だったのかなと不安になった。


「…やっぱり、おかしいよね」

一度言った言葉を取り消すわけにもいかず、苦笑いでごまかそうとすると

「それ、おかしくない」

詩音が真剣に答えた。
< 227 / 281 >

この作品をシェア

pagetop