ここにある
「海ってさ、命のかたまりなんだ。生きたり死んだりを丸ごと飲み込んで、海は生きてる。だから、海になるっていうのは、おかしいことじゃない」

詩音の瞳にまっすぐ見つめられ、そう言われば、そうなのだと思えてしまうから不思議だ。


「そうかぁ~、海かぁ…」

詩音は自分の言葉に満足したのか

どこか楽しげにうなづきながら、波打ちぎわへ近づいた。

ざわざわと打ち寄せるさざ波を飛んだりよけたり

おもしろそうに遊んでいる。

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