ここにある
あたしは詩音の左胸に、そっと手をあてた。

とくとくと、手の平に詩音の命を感じる。

詩音の胸から伝わる鼓動が、あたしの鼓動と重なった。

「何してるの?」

詩音が不思議そうに首を傾げた。

「音、確かめてる」

「なんの、音?」

「生きてる音」

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