ここにある
あたしと詩音は、来た道を引き返し、歩きだした。

塩辛く、濡れた衣服から奪われる体温より

つないだ手から生まれるぬくもりが全身を温める。

どんなに時間がかかっても、かまわない。

歩いて帰ろうと決めた。

ここから始めたのだから、自分の足でたどり着きたい。


帰るべき場所へ。
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