ここにある
「すみません!オレが誘ったんです…」

「ちがっ…誘ったのはあたし…」

「海に入ろうって言ったのオレだから」

詩音は母に向かって、額を地面に打ちつけるように頭を下げた。


「陶子と…あ、えっと、陶子さんと一緒だったら、どこへでも行ってみたいって思ったんです…」


詩音が母との距離を縮め、さらに深く頭を下げる。

「でも…帰ってきてよかった。お母さんも陶子と一緒にいたかったんですよね?」

呼吸が止まりそうになった。

怖くて母の顔をみることができない。

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