ここにある
伝わったかな…

あたしが必死につむいだ言葉に、息を切らしていると

「ありがとう」

詩音のお母さんは、やんわり微笑んだ。

そして、暖かな視線で詩音を見つめた。

きっと、この人は何も言わなくても、詩音を理解しているのだと納得できた。


詩音は照れくさそうにしながら、こめかみに指を当てた。

詩音が思案中であるのは一目瞭然で

あたしは詩音が何を言うのか興味深く見守った。
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