ここにある
「母さん、オレ学校行くよ」

詩音の言葉に、あたしはぱくっと開けた口から何も言葉を出せなかった。

「もっと色んなこと知りたいんだ」

強い決意をみなぎらせる詩音に、詩音のお母さんは「そう」と柔らかく笑った。

「陶子はどうする?」

「はい?」

急に振られ、うろたえながら母を見れば

同じように「どうするの?」という視線とぶつかった。


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