ここにある
『ドムズ』の前は、家族連れでにぎわっていた。

平日は学生がほとんどだが、今日は風船を手にした小さな子供達がやたらと目につく。


風船を交換したり、手から逃がした風船を追いかける子供達。

なにげなく、その微笑ましい光景を目で追うあたしの視線は

途中でぴたりと止まり、釘づけになった。


キャラメル色のブレザーにブラウン系のチェックのズボン、

品のよい制服を優雅に着こなした英南学園の生徒が、嬉しそうに風船を手にしている。


「あ、陶子!」

遠くから手を振り、無邪気にかけよる詩音を、周囲の視線が追っている。

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